美しき?日本
「日本は古き良きを残し、美しい国である。」
つい先日までそう思っていた。
けど、ある本を読んで、又自分が実感した上で
「本当にそうなんだろうか?」
という疑問が出てきた。
僕は、メディアの影響もあり、「日本は美しい国なんだ」
と思っていた。
心からそう思っていたわけではないけど
「なんとなくそうなのかもな・・・」と思っていた。
実際のところ「日本は美しい国」だと思っている人は多いと思う。
でも、改めて、考えてみて欲しい。
「今自分のいるところは美しいか?」
朝起きて、日中どこかへで出かけて、夜戻ってくる。
1日の間に「日本は美しい国」だ、と思えるときは何回あるだろうか?
そう、僕の考えを改めてくれた本。
「ニッポン景観論」(著 アレックス・カー)
を少し紹介したい。
著者はアメリカ人で、日本に住みつき、「日本人の主張する美しさ」と
「実際の日本の美しさ」を取り上げ、多くの問題点を指摘している。
日本人じゃない、という第三者的な意見だからこそ
胸に刺さる言葉も多かったんだと思う。
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この本は多くの写真が使われている為、
読んでいても飽きがこないし、理解も相当しやすい。
むしろ、言葉だけでは伝わらないことだらけで、百聞は一見に如かず。
日本人ながら、「どれだけ恥ずかしいことをしているか」
を思い知らされる本だった。
例えば、
・日本には看板や電柱が多すぎる
→今や日本よりお金のない発展途上国でさえも景観を気にして電柱を埋立てるし、
ハワイでは1995年の時に、すでに大型看板の設置を一切禁止にしている。
しかし「景観を大事にしよう」と言っている日本はまだ規制をしていない。
・奇抜なデザインで歴史や自然を圧倒している
→「現代アート」として評価されるべきものなのだろうが、その「現代アート」が完全に伝統を壊してしまっていることがある。
ex,重要な文化財の後ろに、背中あわせでその文化財の3倍ぐらいの近代的な建築を施す
・歴史的に景観の素晴らしい棚田や田園風景に「ブルーシート」
→日本人は「ブルーシート」になんの違和感もないかもしれないが
観光業者を脅したことがあるらしい。
それほど、素晴らしい田園風景は観光客を集めるのだ。
『日本では当たり前のことが、バリ島では「脅威」になっているのです。』
・日本には杉の木が多すぎる
→日本は高度経済成長のときに目先の利益のために大量の杉を植樹した。
杉の木が集まるところは陰が多くなり、多くの食物も動物も姿を消した。
そして杉の木は「木材」として全然使われない。安い海外の木や杉よりも上質な木は大量にあるからだ。
紅葉を見に行っても杉は緑色。
さらに多くの日本人は「スギ花粉」でやられている。
などなど。
これは本の中の2%に満たない内容だけど、これだけでも十分耳が痛い話だ。
看板を立てる→経済効果を上げる
「現代アート」を建てる→目新しいもので集客(半分の確率で誰も来なくなるそうだが。)
杉の木を植樹→周りの生態系を意識せずに、目先の利益を考えずに行動する。
こんなことで日本が変わっていってしまっていいのだろうか。
しかも、本当に「いい意味」変わっているのか?
本の中で1番心に刺さった言葉がある。
『自然を愛さなくなったというのなら、今の日本人は何を愛しているのでしょうか』
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これだけ日本国内で「日本は美しい国だ」と言っているのに
実態はどうなんだろうか。
本当に考えさせられる本だった。
アレックスさんはアメリカ人だけど
日本の見放された古民家を再生する活動をしている。
日本の為に。
それがいいことか悪いことかは人それぞれの判断で変わるけど
僕はアレックスさんを支えたい。そして、もっと知りたい。
あさってアレックスさんが再生を手がけた奈良の古民家に訪れる予定なので
次回はそのことに触れることができればな、と思う。
最後に、明日いかに「看板や広告」が多いかを歩いて見てほしい。
驚くほどある。もう、多すぎて写真を撮りたくなる。
「毎日通ってる道にこんなにあったか!!」って驚くと思う。
僕はイタリアにもフランスにも行ったが、日本みたいな看板は滅多に見なかった。
僕らの年代も、
僕らの年代だからこそ、
少し意識していくべきことだと思う。